ほどよく自然と暮らす家は、30代の子育て世代のお施主様が建てられた家です。ご実家の土蔵を解体したスペースに建設しました。お子様も大きくなり、ご実家ののびのびした雰囲気の中で暮らしたいということで、お話をいただき、計画を進めた案件です。
お施主様自身初めての家づくりということもあり、具体的な完成形を想像できないまま、相談させていただきましたが、要所要所ご希望がありました。 お施主様からの要望として、薪ストーブを使いたい、吹き抜けにしたい、土蔵の梁を再利用したい、パントリーがほしいけど、あまり大きな家にはしたいくない、塗り壁にしたい、ガレージがほしい、太陽光発電、将来の事を考えて子ども部屋は2部屋にできるようにしたい、ロフトがほしい、洗面台はタイルがいい、玄関はお客様用と家族用と分けたいなど。
限られたスペース、ご予算の中でこれらを実現することは、非常に難しいことでした。特に予算面では、子育て世代ということもあり、住宅にかけられる金額も限られていました。パブリックなスペースや過ごす時間が長いエリアにはお金を使い、プライベートスペースはコストを抑えた素材を使用するなど工夫してご予算に合わせたプランをご提案しました。
デザイン面では、塗り壁、薪ストーブ、天然木のフローリングなど自然志向なパーツを利用しましたが、結果的にこてこての自然の家にならず、ほどよくそのエッセンスを取り入れる事ができました。壁の白、土蔵から再利用した飾り梁、煙突もふくめた薪ストーブがうまく調和しています。
ご実家側にウットデッキを設置することで、ご実家のお母様も気軽に遊びにきているようです。お子様が裸足で遊んだり、夏場はプール遊び、バーベキュー、お施主様が夕涼みでビールを飲んだりとご活用いただいています。
お引き渡し後、数ヶ月経ってお邪魔した際にいわゆる「生活臭」がしませんでした。一般的な住宅ですと、どうしても「○○さん家の匂い」が発生してしまいます。それは生活する上でしかたないことですが、居住スペースの大多数を占める壁をシラスによる塗り壁にしたことで、その消臭機能により独特の匂いの発生を防いでいます。
設計、施工面で苦労する部分も大きかったお宅でしたが、ご家族のライフスタイルを一緒に考えて、デザインし、形にできた建物になりました。